魔法少女リリカルなのはA's ‐Extra‐

【Episode.21 琥珀色の決意】
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心が沈んだような重さを持っていた。
何を考えても、集中できない。

デバイスの調整に行く、などと嘘をついてまで、彼から逃げた理由はなんだろうか。
なぜ、あの場所から出て行ったのか。

・・・わからない。

むしろ自分が聞きたかった。
別にあそこから離れる理由などなかったはずだ。

だが、今はあそこから離れ、自分の部屋にいる。

セリナ「・・・どうしてでしょうね」

つぶやくことすら虚しくなって。
その顔を枕に埋めるようにして伏せた。


あの戦闘で、確かに今の自分と結城の力の差は、ハッキリした。
明らかに自分は弱い。
そして彼は強くなった。

一体何の差があったのだろうか。

自分だって、想いを持って日ごろから鍛えてきた。

父の魔法を貫く。

他人からそれだけのこと・・・と思うかもしれない。
だけど、自分にとってはそれだけが自分の全てだ。
その魔法を貫こうと思ったから、もっと強くなるために管理局に入った。
強者相手に毎日のように模擬戦を申し込んで。
そしてここまで来たはずだった。
努力だけなら、ほかの誰にも負けない自信があった。

なのに、それでも、彼には勝てない。

元から彼が優秀な魔導師であり、そして体内にとんでもないものを仕込んでいるのは知っている。
それでも納得などできない。

別に彼が努力なしで強くなったなどとは思わない。
だが、どうしても彼との力の差が納得できないのだ。


想いの差?

素質の差?

デバイスの差?

魔力値の差?


明確な答えがあれば納得できると思った。
でも、そのどれも関係ない。
弱いのは、自分自身・・・。

だが、自分自身の何が弱いというのだ?

わからない。
明確な答えなど、見つからないし、もしかしたら、初めからないのかもしれない。

なら、自分の何が悪いのだ?


そんな自問自答を何度も繰り返す。
一向に答えなどでない。
もうじき、今回の事件の全てが終わる。
その時、自分は彼に、結城の手の届くところにたどり着くことができるのか?
いや、彼は自分の手の届くところで待っているのか?

・・・いるはずがない。
彼も、時間も待ってくれるはずがない。
なら、どうする?
このまま、仕方のないことだ、と。
それで終わらせるのか?
それとも、また努力を続けるのか?
今まで彼に追いつくことができなかった努力の仕方で?


・・・わかるはずなどない。


だからこうして一人、塞ぎこむように部屋で考えているのだから。

セリナはふぅ、と息をはいた。
時計に目をやる。
すでに時刻は八時を回っている。

今なら、トレーニングルームにも、誰もいないだろうと、セリナは立ち上がり、一人部屋を後にした。






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