梅花空木
[女性]
【お正月小説】

十一時、木申乙神社。そこは年明けまであと壱時間ということで、神社には大勢の参拝客がいた。
 「鐘を鳴らしたい人はあちらの列に並んでくださーい。甘酒はあそこのテントで配っておりまーす」
 ここの神社の巫女、茉木季依はそう言いながら早歩きで神社の中を回り、新年を迎えるための準備をしていた。
 「これからもっと人が増えてくると思うから、今のうちに年越し蕎麦、食べておいで」
 父の斗季に言われ、「わかった」と、返事を返して神社の裏の自宅に行く。
 自宅に着くと、急いで靴を脱いで台所に向かう。
 台所に着くと、教会のシスター、~庚夏祈がいた、
 「お帰り〜季依。お蕎麦食べる?」
 そして何故か我が家でそばを食べている。参杯くらい…。
 「いひゃい、きへ。ほへひはらはひれ(痛い、季依。ほっぺ引っ張らないで。)」
 「なんであなたがここで、蕎麦を食べているのよ!それになんで巫女服着ているのよ!」
 「だってお腹すいちゃったんだもん!手伝ってくれたらお蕎麦食べていいよって斗季さんが言ってくれたから巫女服を着ているの!」
 「手伝ってから食べなさい!」
 夏祈はぶつぶつ言いながら台所を出て、神社に向かった。季依もお椀に汁をいれて、椅子に座った。
 十一時二十分、食事も終、神社に戻って明日の舞いに使う道具の点検をしようと、神社の中に入る。すると日本刀がない。一瞬の目まいの後に、一柱の神の名前を叫ぶ。
 「和様―――!!!」
 「どっ、どうしたの?」
 「ここにあった日本刀!」
 「なっ、何もしていないわよ」
 「あなた以外、誰がここに来るというのですか!」
和は少し考え、ポンと手をうつ。
 「そう言えばさっき誰かがここに入って、何かを持って行くのがみえたわ。」
 「見ていたなら何で、止めなかったんですか!?」
 「だって、季依だと思ったんだもん!それに眠かったし・・・」
「はぁ〜。無くなってしまったものは仕方がありません…。ですから、責任とって絶対に日本刀を探しだして下さい。私は他にやることがあるので」
 そう言い残して、季依は売店の方に向かった。
十一時四十分、甘酒を配っていると、そこに夏祈がやってくる。
 「季依〜。」
 「どうしたの?」
 夏祈はおずおずと何かを差し出す。それは日本刀だった。
 「犯人はおまえかー!」
 「犯人?なんのこと?」
 夏祈がキョトンとした顔で季依に日本刀を渡す。
 「鳥居の前に落ちていたから拾ったんだよ。季依のだよね」
 「う、うん。有難う」
 夏祈は、「私は向こうで、列の誘導があるから」と言って、小走りで去って行った。
 十一時五十五分、季依は和に、日本刀が見つかったことを報告した。
「良かったじゃない、見つかって!」
 「ん〜。でも何か引っかかるんですよね。」
 「季依は疑心暗鬼しすぎなのよ」
 季依は少し納得いかないらしく、腕を組む。
 「そういえば和様」
 「なあに?」
 「甘酒が5リットルほど減っているのですが?」
 サッ(季依から目をそらし、逃走)
 「待ちなさ〜い!」
 そんな中、年越しを告げる除夜の鐘が、菊国中に響いたのだった。



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風花

え、おわり?

1/10^14:19[編集]

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